15分の贅沢。シエスタ×い草でつくる、私をいたわる夏の「Good Life」習慣

お気に入りのアイスティーを片手に、窓の外を眺める夏の昼下がり。
ふと、心地よい風とともに、とろんとした眠気に包まれることはありませんか?

「あぁ、やらなきゃいけないことがあるのに……」
なんて、どうか自分を責めないでくださいね。

実はその眠気、私たちの身体が
「ちょっとお疲れさま、少し休もう」
と教えてくれている、心と身体のすてきな防衛サイン。

エアコンがなかった時代、私たちの先祖は、この夏の暑さと
「いかに心地よく付き合うか」
という知恵をたくさん絞り出してきました。

今回は、地球の反対側で生まれた2つの心地よい暮らしのヒント、
地中海の「シエスタ(長い昼休憩)」と、日本の伝統的な「い草・寝ござ」のお話を。

形は違っても、そこには
「毎日を健やかに、Good Lifeを送りたい」
と願う、人類共通の愛おしい生き残り戦術が隠されていました。

シエスタ:「戦うのをやめて、自然に身をゆだねる」地中海の知恵

「シエスタ」と聞くと、スペインののんびりとした昼寝を思い浮かべる方が多いかもしれません。

でも実は、その始まりはさらに昔、古代ローマ時代にまでさかのぼります。
シエスタの語源は、ラテン語の「hora sexta(第六時)」。
日の出から数えて6番目の時間、つまり「太陽が一番高くなる正午から午後3時頃」を指す言葉です。

地中海の夏は、お肌がジリジリと焼けるような強い日差しが降り注ぎ、気温が40度を超えることも。
そんな燃えるような時間帯に無理をして畑仕事をしたら、当然、身体が悲鳴を上げてしまいますよね。
そこで11世紀の修道院の人々は、
「一番暑い時間は、みんなでいっせいに働くのをやめて、静かに体を休めよう」
という優しいルールを作りました。
これが、地中海に暮らす人々のライフスタイルとして根付いていったのです。

シエスタ

彼らにとってシエスタは、ただの居眠りではありません。
家族みんなでおいしい昼食をゆっくり囲んで、おしゃべりを楽しみ、そのあとにトロンと20分ほど目を閉じる。
これらすべてを含めた「暮らしの愛おしいサイクル」そのものをシエスタと呼びます。
自然の圧倒的な暑さに対して、真っ向から戦うのではなく「今はちょっとお休み」と、時間をずらしてやり過ごす。

それこそが、地中海の人々が見つけた、健やかに生きるためのエッセンスだったのです。

シエスタ

日本のい草:「足元から、涼しいお部屋をデザインする」空間の知恵

い草の座布団

地中海の人々が「過ごす時間を変える」ことで夏を乗り切ったのに対し、私たち日本人は「足元の素材を変える」ことで、お部屋の中に涼しいオアシスを作ろうとしました。
それが、青々とした香りが心地いい「い草(茣蓙・畳)」です。

実は、畳や茣蓙(ござ)に使われる「い草」は、他国から伝わったものではなく、縄文時代の遺跡からも見つかっている完全な日本オリジナルのカルチャー。
なんと1300年前の聖武天皇も、夏の夜を涼しく過ごすために、お気に入りの木製ベッドの上にい草のマットをシーツ代わりに敷いて眠っていた記録が残っています。

さらに面白いことに、昔の日本では、い草は「飲む薬草」としてお薬のようにも扱われていました。
現代の科学でその成分を分析してみると、これが健康や暮らしに驚くほど良い効果をもたらすことが分かっています。

い草
  • 天然のエアコン:
    い草の中身は、まるでやわらかいスポンジのよう。綿の約3倍も水分を吸ってくれるので、日本のあのジメジメとした不快な湿気を、敷くだけでサラリと消し去ってくれます。

  • お部屋で森林浴アロマ:
    九州大学の研究でも、い草の香りを嗅ぐと、心がホッとする時に出る「α(アルファ)波」が頭の中に広がり、睡眠の質がぐんと高まることが立証されました。まるで森の中で深呼吸しているような、天然のアロマセラピーなのです。

い草とカゴ

がんばりやさんの現代人に贈る、15分の贅沢

時間を味方につけて、社会ごとスローダウンした地中海のシエスタ。
空間を味方につけて、足元から五感を癒やした日本のい草。
アプローチは違っても、どちらも
「自然の猛威に対して人間が必死に、そして何より優雅に編み出した、愛おしい生き残り戦術」です。

人間は、自然を完全にコントロールすることはできません。
だからこそ、無理に抗わず「今は休む時間」と割り切ったり、天然の草の香りに身をゆだねて環境を整えたりしてきました。

現代の私たちは、ボタン一つで部屋を冷やせる快適なエアコンを手に入れました。
でもその代わり、夏でも冬でも同じパフォーマンスを求められ、少し心が疲れやすくなっているかもしれません。
だからこそ、暮らしの中に「古くて新しい引き算」を取り入れてみませんか?

寝る女性

たとえば、15分のミニ仮眠(シエスタ)を取る前に、あえて温かいコーヒーを一杯飲む。

そして、フローリングの上に小さな「い草の寝ござ(マット)」をサッと敷いて、ゴロンと横になってみるのです。

い草のさらっとした肌触りと香りに包まれて眠りにつくと、ちょうど15分後、コーヒーのカフェインが優しく頭をすっきりと目覚めさせてくれます。

それは、地中海の知恵と日本の伝統が出会って生まれた、最高の「Good Life」

今年の夏は、いにしえの人たちが教えてくれた優しい戦術で、心も身体も心地よく、スマートに乗り切ってみませんか?

スタッフ – Y.Morita